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2012年01月10日 11:06

農業にはプロデューサーが足りない

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農業ビジネスデザイン学部5期の最後のゲストは、
中目黒の野菜スイーツ専門店「ポタジエ」を運営している
株式会社イヌイの柿沢直紀さんです。

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レストラン学部のゲストではおなじみの柿沢さんですが、
ご本人も「農業関係者の方がつながりが多いかも」と話すほど、
飲食の立場から農業に深く関わっていらっしゃいます。

野菜の魅力を伝えたいと話す柿沢さんですが、
そのためにポタジエでは、3年前から社員を畑に行かせているそうです。
すると、パティシエも販売者も、商品への愛着が全然違うと話します。

「農業って、生産だけではなく口に入るまでが農業だと思うんです。
 その中で、どの部分を支えるかという役割があります。」

そして一番不足しているのは、
口に入るまでのプロデューサーであると話します。
その事例として、柿沢さんが四万十市と一緒に開発した
かりんとうなどをご紹介いただきました。
これは何パターンも作って東京の女性に聞いて回ったそうです。

生産するだけの農業から、
外食産業や加工産業までを含めて考えることで
市場規模が拡大し、そこにチャンスが生まれます。

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最近では日本の食文化を海外にアピールする活動も
積極的の行っている柿沢さんですが、
日本の洋食屋やケーキなどを例に、
欧米直輸入ではなく「日本フィルタを通した食」が
アジアにおいてものすごく信頼されていると話します。

一方で柿沢さんは、アメリカのコンテンツ産業の強さと比較し、
日本の発信力の弱さを指摘します。
野菜スイーツの次に始めた野菜の寿司は、
日本の食文化を海外へ発信する意味もあるのだそうです。

経済の発展とともに食文化の欧米化が進む中国などは、
日本フィルタを通した食のニーズが確実に増しています。
そこに対し、日本の農業をしっかりと発信していくことが、
これからのビジネスチャンスにつながるのでしょう。

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野菜スイーツに続き、野菜のお寿司、
そして海外への進出も視野に入れている柿沢さん。
これから日本の農業をどうプロデュースしていくのか、
今後の活躍に注目です。


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2011年12月06日 10:35

政治の舞台裏

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第10回のゲストは、テレビ朝日政治部記者の山崎陽弘さんです。
農業への影響が大きいTPP問題などを中心に、
普段なかなか聞くことの出来ない政治の舞台裏をうかがいました。

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山崎さんは首相官邸キャップをしていらっしゃいます。
官邸キャップとは、現場を仕切る管理者でありながら、
現役の記者として首相官邸の情報に間近でふれる、
まさに政治の現場を知り尽くしている立場です。

そもそもTPPとは、という解説からはじまり、
APECに至るまでの野田政権の混乱ぶり、
そして話題となったTPP参加表明の1日延期など、
普段は聞くことのできない現場の様子が語られます。

また山崎さんと番組にて共演している永島学部長からも
講義の途中で様々な意見や問いかけがなされ、
さながら収録現場を見学しているようです。

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TPPとしてよく語られる問題としては、
関税の撤廃による農産物への影響があります。
農水省は米だけでも2兆円のダメージを受けると試算しています。

永島学部長からも、外国産でも美味い米があるというお話がありました。
アメリカ産米でも、もともと日系人が作っているなど、
今や美味しいお米も多いそうです。

また山崎さんは、問題はそれだけではないと話します。
農業に関連する問題では、例えば残留農薬の基準について。
アメリカと日本では殺虫剤の基準に80倍程度の差がありますが、
このようなルールもこれから定めていく必要があります。

同じように原産地規制、SPS(衛生植物検疫)、TBT(貿易の具術的障害)など、
TPP協定交渉では24もの作業部会が設けられているそうです。
「あらゆる分野において、これから議論がおきていくでしょう」
と山崎さんは語ります。

質疑応答では「どのアナウンサーが一番可愛いか」なんて質問や、
その回答をクルーが熱心にメモするという和やかな場面もありましたが、
TPPの問題を中心に、終始熱を帯びた議論がなされました。

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世界では自由貿易化の流れが進んでいきます。
その中で私たちの「食」をどう守り発展していくのか。

これから向き合わなくてはならない課題に
あらためて気付かされました。


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2011年11月21日 16:12

農業の新しい価値

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第9回のゲストは、株式会社マイファームの西辻一真さん。
自産自消ができる社会へ、をコンセプトに、
レジャー感覚で楽しめる体験農園サービスを提供しながら、
それを通じて耕作放棄地の再生に取り組んでいらっしゃいます。

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子どもの頃から家庭菜園が好きだったという西辻さんは、
休耕地を見て「楽しいのになぜ使わないんだろう?もったいない」
という問題意識を持っていたそうです。

そんな頃、共同創設者である岩崎さんに出会います。
岩崎さんは「自分の子供に農業をさせたいが良い環境が無い」
という想いを持っていました。

その二人の想いが交わり、
休耕地をリメイクして体験農園サービスを提供する
マイファームの事業が始まります。

行政が提供する市民農園など同類のサービスは他にもありますが、
テキストの送付、ニュースレターの配信、インターネットで質問が可能、など、
ITも活用しながら利用者を脱落させない工夫をしっかり取り入れているところが、
マイファームが提供するサービスの強みであると言えます。

「簡単に野菜を作ることはできませんが、苦戦することが大切。
また土地は移動できないので、人に移動してもらうしかありませんが、
そこに楽しさを吹き込むことでミスマッチを解消しています」
と西辻さんは話します。

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同社の提供するサービスは体験農園にとどまりません。
2010年には、農業の担い手を増やしたいという想いから、
より多くの人が自由に学べ、本格的な就農までをサポートする
マイファームアカデミーを設立しました。

就農後にまず問題となるのは売り先ですが、
マイファームアカデミーでは体験農園の利用者がお客様となっているそうです。
就農後も継続的なサポートを行っているところが、
一般的な就農学校との違いであると言えます。

まずは体験農園で農業に親しんだら、次は先生として教える側になる。
より意欲のある人は、出荷をするプロの農家を目指す。

このサイクルをまわしながら、
農業人口を増やしていくことと、農業技術の質を高めていくこと、
その両面に取り組んでいるのがマイファームの素晴らしさです。

また西辻さんは
「農業をなんとかしたい、という共通目的がある中で、
敵とかライバルというのは違うと思っています。
誰とでも協力したいし、みんなで何とかしたい」
と話します。

その言葉を裏付けるように、
同社のマーケティング情報など貴重なノウハウを
惜しげも無く話してくれたばかりか、
質疑応答では「年収は?」という異例の質問に対して
丁寧に答えてくださいました。

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マイファームでは他にも、
畑で農作業をしながら婚活を行う「畑DE婚活」や、
大根の形を競うコンテスト「ダイコンテスト」など、
少し違った視点で農業に新たな価値を吹き込んでいます。

農業が持っている新たな価値に気付き、活用していくことが、
これからの農業ビジネスにおいては大切ことなのだと感じました。


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2011年11月09日 10:49

ITを活用した農業経営

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第8回のゲストは、農業生産法人新福青果の新福秀秋さん。
農業で他産業並みの安定した収入と生活を実現することを目指し、
大規模で先端的な農業経営に取り組んでいらっしゃいます。

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直営農場313ヶ所、農地150ha以上、従業員72名という
大規模な生産法人となった新福青果ですが、
最初から法人化を目指していたわけではないそうです。

元々はサラリーマンだった新福さんですが、
農業を始めてからは土日も関係の無い生活となり、
ご家族からも不満が出てくるようになります。

「奥さんに土日祭日は休みにすると宣言しちゃったんですよ」

そこから、新福さんの「農業経営」が始まりました。

休日をもうけて、雇用を安定させるという、
他産業では当たり前のことを農業でも実現させる。
そのために、会社組織にすることを考えました。

ところが当時は会社として農業をすることに前例がなく、
農協、行政、銀行からは相手をされないなど、
たいへん苦労も多かったそうです。

それでも多くの工夫を重ね、
企業規模を拡大していきます。

例えば産地廃棄野菜の活用。
外見重視の現在の規格では、中身は変わらないのに、
見た目が悪いという理由だけで多くの野菜が産地廃棄になります。
そのロスをA品の価格にのせるところも多いようですが、
廃棄野菜を「もったいない」と思った新福さんは、
それらを活用するために、自ら加工事業も始めます。

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そして、農地の担い手がどんどん減少するなか、
「頼まれたら断れない性格」と自ら話す新福さんは、
どんどん農地を引き受け、自ずと規模も拡大していきます。

規模の拡大に伴い様々な問題も発生してきますが、
その解決に「IT」を活用しているところが、
新福さんと他者との圧倒的な違いであると言えます。

例えば従業員の移動にはGPSを活用して「移動の見える化」を行いました。
そうすることで分散している農地への移動ロスの改善を図ったり、
移動中に事故などが発生していないか確認することを実現しました。

またベテランのノウハウを口頭で伝えることには限界があります。
そのため現場の写真とコメントなどをシステムに登録して共有することで、
独自ノウハウやルールを体系化し、収量・品質の維持に役立ています。

ITを活用することで生産、経営、販売の見える化を行い
生産から消費を結ぶバリューチェーンを構築する。
それによって農業フランチャイズ化の可能性も見えてくると話します。

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TPPや食糧問題など、日本の農業が直面する課題のために、
大規模に農業を経営していくことの重要性が増していますが、
新福さんはその先頭に立ち、実践されている方なのだと感じました。


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2011年10月21日 18:39

田舎 × デザイン

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田舎 × デザイン

ゲストスピーカーは、サコダデザイン代表の迫田司さん。
四万十川の谷に移り住み、自らも田畑を耕しながら、
地元の特産品や加工品のデザインを手がけています。

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四万十に出会ったのは21年前。
きれいな川に魅せられてから移住するまで、
2年間で30回も通ったそうです。
まずは素晴らしき四万十ライフの紹介から始まります。

四万十の天然うなぎ、天然鮎、天然手長エビ・・・。
都会では不便だと認識されている田舎に、
ごく普通に存在する「圧倒的な豊かさ」の数々。

「地域の名産品を、ネットで買って食ってもウマイわけが無い。
 そうじゃなくて、現場に行って現場のモノを食べて欲しい」
そう語る迫田さんに、クルーもどんどん惹き込まれていきます。

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そして、地域とデザインのお話。
四万十川流域の水でつくられた「山間米」のプロジェクトでは、
「昔のウマイ米」を作ろうという想いを
言葉ではなくデザインで伝えたいと考えていた迫田さん。

いつものように納屋で酒を飲み交わしている時に、
「米は呼吸をする」という生産者の話を聞いて、
昔ながらの紙の米袋を使用したそうです。
それがグッドデザイン賞を受賞します。

それから、100%山間米のお酒作りが始まります。
予算がないので、自ら写真を撮ってチラシを作ったそうですが、
自然な表情の写真が撮れることも、役所の協力を得られることも、
長年かけて地元の人と酒を交わしてきたからこそ出来ることであり、
「田舎のデザイナー冥利に尽きる」と迫田さんは話します。

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「ぢちち」

これ、なんだかわかりますか?

高知県佐川町にある、家族経営の小さな酪農家4件だけの牛乳。
このパッケージデザインを手がけた迫田さんは、
地鶏や地酒ならぬ、「地乳(ぢちち)」をコンセプトにしました。

そして、予算がないという理由から、配色は黒と白の牛さん色。
(実は牛乳業界ではタブーとされてきた配色だったそうですが)
このローカルをアピールした「ぢちち」のインパクトと、
ありそうで無さそうなデザインが功を奏し、
売上は全年の2倍になったそうです。

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「次の時代を誰が担うか」ということが、
四万十の人に共通する問題意識と話す迫田さんですが、
様々な活動をしていく中で、地域がだんだん変わっていったそうです。

もともとは「よそもの」である迫田さんだからこそ、
田舎にある豊かさに気づき、デザインを通じて伝える活動が生まれました。
重要なポイントは「変化を起こすキーマンがいるか、いないか」ということ。

ただしそれは、地域の人に溶け込むための度重なる努力と、
地域の人と一緒になって作っていく姿勢あってこそ、
ということを、あらためて感じました。


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