report
2011年08月29日 19:36
ステレオタイプが地域のブランディングをつくる
ゲストスピーカーは、江戸川大学ライフデザイン学科教授の鈴木輝隆さん。
著書「ろーかるでざいんのおと」では、推薦者の筑紫哲也氏に
「こんなに日本中を歩き回っている学者はいない」とまで評された鈴木さんから、
ローカルデザインによる新世代ビジネスについて、お話を伺いました。

「2050年の日本はどうなるでしょう?」
今のままでいくと、という前提を置きながらも、
・高齢化率が約4割
・6割以上の地点で人口が現在の半分以下
・現在の居住地域の約20%が無居住化
・世界の人口は93億人になる一方、日本の人口は1億人を割る
など、早速多くの問題が投げかけられました。
少子高齢化、環境破壊、エネルギー問題など、多くの課題を抱える日本ですが、
東日本大震災があり、たくさんの大切なものを失った今だからこそ、
既成概念から離れ、想像力が最大限に引き延ばされる。
「未来へ向けてできるだけ大きなビジョンを描くこと」が必要と語ります。
また、田舎が元気になると日本の8割が元気になると鈴木さんは話します。
田舎にはもともと、知られていないけど魅力的なものが沢山あります。
その価値を高めるためには、どうしたら良いのでしょうか。

「ステレオタイプが地域の特性やブランディングを作るんです」
普段はネガティブな意味で使用されることも多い「ステレオタイプ」ですが、
良いデザインなどで良いステレオタイプ=地域ブランドイメージがつけば、
そのブランド力から地域経済が活性していくのだそうです。
それを裏付けるように、鈴木さんが「現場」にて体感した
多くの事例について話して下さいました。
九州ちくご元気計画や、山梨県穂坂町の穂坂町ぶどうるなど、
いずれも丁寧にデザインされ、地域に良いステレオタイプが与えられたことで、
その魅力が広がっていった事例です。
「イメージが貧しい地域は生き残れない。
他には無い新しいもので、楽しく、明るくなるデザインをして欲しい。
伝統と先端で、新しい地域産業構造を構築することが必要です。」
では、良いアイデアがあっても、どこから地域に入っていったら良いか
わからない場合はどうしたら良いのでしょう?
クルーから質問が投げかけられます。
「時間をかけて関係性を築いていくことが大事。
東京の人は早くやろうとするため、時間のプランができていないことが多い。
誰かの紹介であることも重要。まずは内集団として受け入れてもらうことが必要です」

本気でやりたいと思ったら、お金以上に人の心をくすぐる何かが必要と鈴木さんは話します。
日本中を飛び回り、多くの現場で体感した事例を、
本当に楽しそうに語る鈴木さんのお話は、とても魅力にあふれており、
まさに「この人と一緒に何かをやってみたい」と思わせる何かを感じました。
2011年08月22日 14:30
セガ源平大戦絵巻×給湯流茶道 茶会レポート
デザインコミュニケーション学部の桜の園1期の谷田さんより、
イベントのレポートです。
*****
桜の園で立ち上げたプロジェクト「給湯流茶道」と、
デザイン学部7期新小田さんお勤めのセガの
コラボ企画で「茶会」を行いました。
*****
「茶道」 というと、どんなイメージが浮かびますか?
一般的には、着物を着た上品なおばさま方が畳の部屋で正座し、
ゆっくりおごそかな動作でお茶を飲むといったものだったりします。
しかし、茶道が確立された利休の時代、
茶会の主な参加者はサムライだったのです。
斬った斬られたの戦乱からしばし離れ、凛とした空間の静けさを
楽しみつつお茶を飲みリフレッシュしたのです。
利休から400年。
現代のサムライといえばサラリーマンとOLです!
不況やリストラ・・現代の下克上社会で戦う彼らこそ
今、お茶会をすべきと考えました。
スクーリングパッドデザイン学部、日本伝統文化コース「桜の園」
一部有志で立ち上げた給湯流茶道は、サラリーマンとOLへ向け
「給湯室でお茶会をしよう!」という提案をする新しい流派です。
今回、「給湯流茶会」をやらせていただいたのは、
デザイン学部7期新小田さんがおつとめの、(株)セガの給湯室!

▲茶室(給湯室)入室を待つセガ社員のみなさん
セガは源平合戦をテーマにしたiphone 、ipadゲーム
「源平大戦絵巻」をリリース。

「戦う人に茶道を」とスローガンをかかげる給湯流にぴったりのゲーム!
ということでゲーム開発にかかわったみなさんに
茶会を開くご提案をした次第です。
利休の時代、秀吉など武士は茶室に入る前に刀をはずしました。
武士も商人もお茶の前では平等で、という精神です。
給湯流では、IDカードを「茶室」(給湯室)に入る前にはずし、
会社の肩書きをしばし忘れよう、という作法があります。

▲スニーカーの上にピンクのIDカードをおいて、
靴下で給湯室に入室してくださった女性社員さん。
抹茶では、茶葉を直接粉にしたものを飲めるため、
カフェインの量はコーヒーより多く感じられ、
飲んだ後は目がさめ頭がシャッキリします。
鎌倉時代に抹茶が日本に伝わったときも、
当初は禅僧が修行中に居眠りをしないために
飲んでいたそうです!過密スケジュールで働く
ゲームクリエイターのみなさまにもぜひ飲んでいただきたいと
裏メッセージもこめました。(栄養ドリンクより安いですし!!)

給湯流茶道では、給湯室にOL必須アイテム?
ヨガマットを敷いて正座します。
室町時代に足利氏の立派なお城などで
華やかに行われていた茶会は、
利休たちが考案した2畳や3畳の狭い茶室で飲む
「侘び茶」へ進化していきました。
あえて狭い空間では人と人の距離が近まり、
いい緊張感をもって茶会が開けると考えられたそうです。
ふだんはさっさとお茶を入れて立ち去る給湯室も、
正座をしてみると緊張感のある空間にさまがわり!
まるで利休がつくった茶室のようにみえてきます!?
また、利休や秀吉たちがつくりあげた茶道では、
漁師がつかっていたカゴに花をかざったり、
朝鮮で普段つかわれていた茶碗でお茶を飲むなど、
茶会のために作られたわけではない道具から
「侘び寂び」を見立てる文化があるそうです。
スクーリングパッド「桜の園」講師、山本豊津さんが
「給湯流を名乗るなら、そういった茶道のゲーム性、ルール性を
理解して取り入れるとおもしろいよ。」とアドバイスをいただきました。

そこで給湯流では、普段給湯室でつかっているコーヒーカップを
茶碗に見立てたりします。こちらは、3つの根っこ?をもつコーヒーカップ。
銘「PLAN DO SEE茶碗」です。
(サラリーマンが企画書を書くときつかう用語をとりいれました。)
茶会の最後は、ゲーム「源平大戦絵巻」イメージキャラクター虚無僧の登場です!

以上が茶会レポートです。
「オレの職場の給湯室でも茶会をやってほしい!」などご要望がありましたら
給湯流 info☆910ryu.com までご連絡お願いします。(☆を@に変えてください)
源平大戦絵巻
http://emaki.sega.jp
写真/西端真矢
http://www.maya-fwe.com/
文責/給湯流 谷田半休
2011年08月17日 14:03
農業を流通から変える!
ゲストは農業ビジネスデザイン学部が始まって以来
ただ一人5期連続でご登壇いただいている
株式会社生産者連合デコポン代表取締役の井尻弘さんです。
セッション前は少しかたかった空気ですが、
例年どおり「デコポン!」の挨拶で始まると
教室の雰囲気が一気に明るくなります。

井尻さんは愛媛県のみかん農家に生まれ、
県の農業改良普及員として農業に関わっているなかで、
それまでの農業の流通に対する疑問を感じ、
「農業を流通から変える」という想いから30歳の誕生日に仕事を辞め、
愛媛から流通の中心である関東に来たそうです。
「なぜ皆さんはここに来たのですか?」
そう問いかける井尻さん。
明るい材料の少ない農業の世界ですが、
そんな中でも様々な可能性があることをお話してくださいました。
そして、とにかく「楽しい農業」を実践したいと話す井尻さんは、
農業を変えるためには、3つの大事な問題があると語ります。
<1.価格決定権が無い>
一般の市場流通は生産者側に価格決定権が無い。
だから、農家は儲からないし面白くない。
デコポンでは普通の企業のように再生産可能な価格決定をしている。
だから計画的な生産・経営をすることができる。
<2.世襲制の農家>
農家に生まれたら農家を継ぐのが普通だった農業。
逆に言えば農家に生まれなければ農業ができないが、それではうまくいくはずがない。
育てる農業をやりたいという想いから、研修生を受け入れて排出している。
<3.外見重視>
見た目のいいものを作るためだけに、どれだけ苦労しているか。
例えばミカンの場合、皮にキズがついただけで値段が1/10以下になる。
だから、農薬は5回ぐらいやれば美味しいものができるのに、
外見を綺麗にするためだけに、農薬を20回以上使っている。
そんな外見重視の流通を変えたいから、農薬や化学肥料に頼らず、
大根やにんじんは泥つき、サイズも混合のまま提供している。

また、16年も前から海外への輸出に取り組んでいるそうです。
当時は「輸入」という概念しか無かった農産物を輸出することや、
コストを計算すると、香港では日本の4倍の価格となることなどから、
当初は多くのまわりの反対もあったそうです。
「なんでもやってみないとわからない」
そう思ってやってみたところ、
安心安全な有機野菜に対するニーズ、
非常に美味しく日本人になじみがある味、
日本に帰ってきてから子どもが社会(日本の味)になじみやすい、
などの理由から、日本人駐在員を中心に拡大していったそうです。
デコポンのお野菜が届く日には、
現地の会社が「農(ノー)残業デー」を設けてくれたこと、
その息子さんから感謝の手紙が届いたことなど、
嬉しそうに語ってくださいました。

次々と新しいことにチャレンジし続け、
今では都内の自然食品店、生協、飲食店、ネットショップなど、
多くの企業との取引を拡大しているデコポンですが、
最初は引き売りから始め、3年間は車の中で寝泊まりしていたと言います。
その苦労を感じさせないぐらい明るく語る姿からは、
農業を楽しく伝えたいという井尻さんの想いを感じました。
2011年08月12日 11:42
8.18 PEDAL DAY & 8.20-21 BEYOND THE HORIZON.

デザイン学部の卒業生が立ち上げたメディアサーフコミュニケーションズからイベントの御案内です。是非お越し下さい。
*PEDAL DAY
日時:2011年8月18日(木) 14:00〜23:00
(雨天決行、プログラムによって中止。荒天中止。)
会場:代々木公園並木道/WIRED CAFE<>FIT
主催:Pedal Life Design 実行委員会
共催:Bicycle Ecology Japan/Bicycle Film Festival TOKYO
昨年の8月18日に自転車乗りたちによる情熱と愛と希望が、
代々木公園を熱く包んだPEDAL DAYが今年も帰ってきました。
今年のテーマは「PEDAL POWER」。
自転車乗りたちのもつ勢いとパワーで東京から日本を元気にすべく、
昨年の代々木公園ステージ前広場から同公園の渋谷側入り口付近の並木道と
WIRED CAFE < > FITに移し、開催します。
是非、東京の自転車文化の波を体感しにきてください。
続々と決まっていくコンテンツの詳細はpedallife.com へ。

*BEYOND THE HORIZON.
日時:2011年8月20日(土)、21日(日)
場所:HEARTQUAKE Base Camp ARABAMA CAFE
主催:ARABAMA復興クラブ
2011年3月11日東日本大震災後、多大な被害を受けた仙台市若林区の荒浜エリアに地元の方の協力を得ながらベースキャンプを作り、震災に学び、今後の復興そして生き方、未来の社会について考え、実行し、作り上げていくことを目的に活動する「HEARTQUAKE」プロジェクト。
それらプロジェクトの活動をサポートするメンバーシップクラブ「ARABAMA復興クラブ(荒浜復興クラブ)」のキックオフイベントを「BEYOND THE HORIZON.」と題し、行います。
8/20に現地に赴き、夕方からキャンプファイヤーを囲み、音楽を楽しみながら食事をし、翌21日には音楽ライブ、ワークショップなどが行なわれる予定です。また東京を18日に出発し、仙台を目指し自転車で走る「Road of Hope」のゴールも祝います。場所はもちろん、仙台若林区の荒浜。クラブに入って日本の新しい未来を東北から、創りだすために。
※「BEYOND THE HORIZON.」への参加には、ARABAMA復興クラブへの加入(メンバーシップフィー3,000円)が必要です。詳細は「HEARTQUAKE」ウェブサイト内「BEYOND THE HORIZON.」ページへ
[Road of Hope to TOHOKU]
「PEDAL DAY 」「BEYOND THE HORIZON.」二つのイベントは東京-仙台間約400kmの自転車グループライドによって結ばれます!その名も「Road of Hope to TOHOKU」!8月18日(木)「PEDAL DAY 」からスタートし、8月21日(日)「BEYOND THE HORIZON.」二日目にゴール予定!
詳細はHEART QUAKE PROJECT :
http://www.heartquake.jp/ja/project/bth.html
MEDIA SURF COMMUNICATIONS : http://www.mediasurf.co.jp/
2011年08月02日 12:17
絶対負けない業態
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レストランビジネスデザイン学部第12期の最後のゲストは
中目黒の野菜スイーツ専門店「ポタジエ」を運営している株式会社イヌイの柿沢直紀さんです。

全国に約3万軒あるケーキ屋さんの中で、
“野菜スイーツ専門”のお店はポタジエ唯一です。
それは同時に全国的な知名度にもつながり、
全国から様々なお客さんがわざわざ足を運んでくださる
「絶対負けない業態」になっています。
「野菜」と「スイーツ」という遠く離れた2つの存在をあえて組み合わせ、
普通のケーキは一切作らないくらい業態を絞り込んだことによって、
逆に色んな業界とのコラボレーションもできるそうです。
その強みが、さらにポタジエの知名度を上げるのでしょう。

柿沢さんは、アメリカのコンテンツ産業の強さや中国の強引なほどの営業力を例に
謙虚さがあるゆえに弱い、日本文化の発信力の無さを指摘し、
野菜ツイーツの次に野菜寿しを始めた理由は、
日本文化の海外への発信の意味もあると教えてくださいました。
ここまで野菜に強く、情報発信力も持っていると、
当然の流れのように“野菜のお酒”の開発も薦められたようですが、
「そこまで野菜で統一するのは、重いと思う」と、
あくまでも客観的に受け手(お客さん)のことをしっかりと考え
野菜寿しで海外に進出する際には、
今ある素晴らしい日本酒と共に進出したい。と思っているそうです。
その他、現在開発中の新規事業のお話も丁寧にお話してくださいましたが、
今回はシェフの亜耶さんも教室に来てくださっていたので、
クルーの質問から、亜耶さんにも飛び入り参加となる展開で
クルーにとっては嬉しいサプライズとなりました。

柿沢さんは現在、六本木ヒルズで「野菜寿し ポタジエ」(飲食店)も経営されていますが
中目黒のポタジエ(食物販)を始める前にも飲食店の経営・閉店もされているので
「飲食店をオープンするのはあくまで“スタート”。
それを“ゴール”と勘違いする人が多い。
実際にはそこからが本当に大変なので、
始める前によく考えた方がいい。」
と、ご自身の経験と実感を込めた言葉を、クルーへの最後のメッセージとしていただきました。
(天池)
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