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2006年06月12日

酒匂暢彦氏セッションレポート

( セッションレポート )

今回のセッションレポートはクルーの松川さんが書いてくれました。
ありがとうございます。

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今回の講師は、パッケージメディアの販売から
配給まで手がけている
(株)クロックワークス代表取締役の
酒匂暢彦さんでした。

「映画はギャンブルか?」

この質問から講義は始まりました。
「映画ビジネスのマーケティング」について、
酒匂さんの経験から裏打ちされた様々なお話を伺いました。

映画ビジネスの主な収入源は以下の4つ

 1.映画館(興行収入)
 2.TV放映 (地上波、BS/CS、Internet Broad Band)
 3.レンタルビデオ
 4.DVD

昔の映画ビジネスは、1の興行収入のみが収入源の
one chanceビジネスだったが、
20年位前のレンタルビデオの登場をきっかけに、
映画業界全体が潤うようになった。

クロックワークス会社立ち上げ時、
まずはレンタルとセルDVDの請負いからビジネスを開始した。
レンタルビデオは、POSで全データを管理しているため、
マーケットイメージは非常に描きやすい。
DVDセルは返品もあるのでレンタルビデオほどではないが、
映画興行よりはマーケティングしやすい。
たとえばサスペンス・ホラーものは回転率がよいということが
データからわかっていたため、その分野のものを積極的に買い付けた。
その結果、約2000万円でブレアウィッチプロジェクト
(以後BWP)を買い付けし、大ヒットとなった。
BWPレベルのヒット作はなかなかでないが、
レンタルとセルである程度マーケット規模がわかるので、
それを元に買い付けをはじいている。

洋画の場合、興行収入がそのまま収入になるわけではない。
BWPを2000万円で買い付けたのは、「最低前払い保証印税
=MG(minimum guarantee)」といって、最初に払うお金である。
実際興行収入があがったら、追加ロイヤリティを払わなくてはならない。
邦画の場合は、追加ロイヤリティが少ないので、
各社積極的に映画制作を行い始めている。

DVDセル市場は、メジャーの会社が安売りを始めたので、
市場は増えたものの1作品あたりの枚数は少なくなってきている。

レンタル市場は、1994年の10,000店をピークに
TSUTATA,GEOの大型店が台頭し、現在は4000店規模。
韓流ブームのためインディペンデント系の作品が入り込むのが
難しくなっている。
レンタルビジネスは、買い切り型とリース型の2通りがある。
買い切り型は問屋さんを介し、12000〜15000円
(配給元には8000円位)で流通。
リース型は、ccc系のレントレックジャパンが始めた
PPT (Pay per Track)方式で、1本500円でおろすかわりに、
レンタルの30%が配給元にキックバックされる仕組み。
現在はメジャーのTSUTATA、GEOがこの方式を採用しているため
主流となっている。(ただ利益率でいうと買い切りの方が
利益を分配しないためよかったりする。)

メジャー系の配給は日本のブランチがあるので、
他の会社は配給できない。
そのためクロックワークスはメジャー系ではない映画を
見つけて配給することになる。
ちなみに少林サッカーという映画を買い付けた時、
日本のマーケットでは

 ・チャウ・シンチーが無名
 ・ジャッキー・チェン映画ですら人気下降気味の香港映画
 ・コメディ

という悪条件でヒットしないと言われたが、
クロックワークスとしては

 ・作品が面白い
 ・2002年自国開催のサッカーワールドカップにぶつける
 ・レンタル・DVDである程度の数字を割り出せる

と判断し買い付けた結果、大ヒットとなった。
(今年のWCにぶつけたGOALはこけているが…)

映画ビジネスはギャンブル性が高いとはいうものの、
興行以外はある程度の予測・マーケティングプランを
立てることができる。

クロックワークスでは、アニメの配給、DVD販売も行っている。
特に最近手がけた「涼宮ハルヒの憂鬱」は、
5万本弱の予約があった。
アニメおたくは、必ずシリーズを買ってくれるため、
確実に売り上げを見込むことができる。
例え一般的な知名度が低くても
(実際教室内で知っていたのは2人だけ)、
5万本というのは5億円興行の映画に匹敵するし、
シリーズ化(8本)すれば40万本規模にもなる大きな収入源である。
今後は、海外での収入源が大きくなることを期待している。
(海外の大学には必ずアニメ研究会があるし、
You Tubeのサーバに「涼宮ハルヒの憂鬱」をアップしたら
サーバがダウンしたという例もある。)

酒匂さんはたくさんの経験談を様々な角度からお話くださり、
配給・パッケージビジネスの現状を深く知ることができました。
映画もある程度のマーケット予測・マーケティングをしている
という視点はとても勉強になりました。

投稿者 schooling-pad : 2006年06月12日 15:31| △TOP